資料の概要

本ウェブサイトに掲載したエジプト、カイロのイスラーム建造物の写真は、エジプトでイスラーム時代の遺跡の発掘調査に従事してきた日本調査隊の関係者によって撮影されました。調査隊は、1978年に早稲田大学がフスタート遺跡に発掘調査を開始し、1981年から出光美術館と合同となり(隊長:櫻井清彦、副隊長:吉田章一郎、顧問:三上次男、総務:吉村作治、調査主任:川床睦夫)、1985年からは中近東文化センターに母体が移りました(隊長:三上次男、調査主任:川床睦夫)また、1985年からはシナイ半島のトゥール・ラーヤ地域での発掘調査も開始し(隊長:三上次男、調査主任:川床睦夫、1987年より隊長:川床睦夫)、2009年まで継続されました。2006年には日本・クウェイト合同調査隊が組織され、2007年には日本側の主体がイスラーム考古学研究所に移りました*。

*各遺跡と調査の概要については下記参照。
『エジプトのイスラーム時代の遺跡 フスタート/トゥール・キーラーニー/ラーヤ』

この間、調査に参加した隊員数は延べ200人を超え、発掘調査に従事するだけでなく、イスラーム考古学のより深い理解と研究のために現代のエジプトの生活文化や歴史的建造物の撮影や記録なども行ってきました。約30年の間に撮りためられた写真は移り行く現代エジプト社会や文化財の変容の様相をも映し出すこととなっています。

2013年度の大学共同利用機関法人・人間文化研究機構による人間文化研究連携事業 「エジプトを中心としたイスラーム時代の遺跡と建築に関わる画像のデータベース化」(研究代表:桜井啓子)では、イスラーム考古学研究所(所長:川床睦夫)の協力を得て、上記の日本調査隊が撮影した写真の中からカイロのイスラーム建造物35件318点の写真を取り上げて紹介することにいたしました。写真の撮影年は1981年から2010年までの約30年に及んでいます。とくに1991年、1994年、1995年には、文化財保護のための修復によって建物のリノベーションも進んでいることから、その当時の現況写真をとどめておこうという川床睦夫イスラーム考古学調査隊隊長の発意に基づき、調査隊参加隊員の協力のもとに集中して撮影が行われました。この頃までの画像の保存媒体が主にカラーポジであったため、この事業でデジタル化作業を推進しました。また、エジプト革命直前の2010年にもデジタルカメラでの撮影を行いました。これらの写真を骨子として、この間に撮影された画像資料を通じて、イスラーム・エジプト物質文化理解の一助として役立てていただけることを期待いたします。

また、諸権利関係に関しては、データベースの使用権は早稲田大学イスラーム地域研究機構、写真の所有・使用権はイスラーム考古学研究所川床睦夫所長、建造物の歴史的説明に関する本文に関しては深見奈緒子が所有しております。引用、使用の際は上記の許可を得ていただき、無断転載は固く禁じさせていただきます。